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名古屋地方裁判所 平成2年(わ)1351号 判決

本籍

名古屋市中川区尾頭橋三丁目二〇〇六番地

住居

名古屋緑区神の倉一丁目九一番地

無職

山口代造

明治四五年一月一五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中山敬規出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役二年六月及び罰金一億円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市中川区尾頭橋三丁目二〇番九号に住民基本台帳法上の住所を置き、遊技場等を営む会社の経営にあたる傍ら、継続して有価証券の売買を行うことにより所得を得ていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、株式取引名義を仮名、借名を使用して取引を分散するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六〇年分の実際の総所得金額が一億三〇六六万〇一七三円であり、これに対する所得税額が六〇三四万二五〇〇円であるのに、昭和六一年三月一〇日、名古屋市中川区尾頭橋一丁目七番一九号・中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が七一四五万二七八一円であり、これに対する所得税額が一九三二万六六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額四一〇一万五九〇〇円を免れ

第二  昭和六一年分の実際の総所得金額が二億九三七一万七四八九円であり、これに対する所得税額が一億七〇四四万九七〇〇円であるのに、昭和六二年三月一〇日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が八四二六万四〇六三円であり、これに対する所得税額が二三八三万二六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額一億四六六一万七一〇〇円を免れ

第三  昭和六二年分の実際の総所得金額が三億五〇一四万七五〇八円であり、これに対する所得税額が一億七二〇八万四九〇〇円であるのに、昭和六三年三月一〇日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九五五四万六三六八円であり、これに対する所得税額が一九三二万四三〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額一億五二七六万〇六〇〇円を免れ

もつて、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人作成の上申書二通(乙1、2)

一  被告人の大蔵事務官(乙3ないし9)及び検察官(乙10)に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(甲5)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書九通(甲6ないし14)

一  山田東洋作成の上申書二通(甲22、23)並びに石川竜夫(甲24)、白木邦男(甲25)、加藤静子(甲26)、山田隆幸(甲27)及び山田満智子(甲28)作成の各申述書

一  鈴木弘作成の上申書(甲29)並びに鈴木克仁(甲30、37)、居松弘(甲31)、遠藤旭(甲32)、勝山禎彦(甲33)、岩中良男(甲34)、鈴木静子(甲35)、鈴木智博(甲36)、鈴木富士男(甲38、43)、岡田昌之(甲39)、水野博夫(甲40)、岩坪司(甲41)、兼氏昇男(甲42)及び日高徹(甲44)作成の各申述書

一  山田東洋の大蔵事務官(甲45ないし47)及び検察官(甲48)に対する各供述調書

一  鈴木弘の大蔵事務官(甲49、50)及び検察官(甲51)に対する各供述調書

一  伊藤明弘の大蔵事務官(甲52、53)及び検察官(甲54)に対する各供述調書

一  横井吉計の大蔵事務官(甲55)及び検察官(甲56)に対する各供述調書

一  西川哲の大蔵事務官(甲57)及び検察官(甲58)に対する各供述調書

一  加藤政春の大蔵事務官(甲59)及び検察官(甲60)に対する各供述調書

一  梅田健児(甲61)、山田猛(甲62)、鬼頭忠康(甲63)、森川幸男(甲64)、長谷川勲孝(甲65)、加藤政春(甲66)及び高柳眞之(甲67)作成の各上申書

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲68)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲2)

一  大蔵事務官作成の証明書(甲15)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲3)

一  大蔵事務官作成の証明書(甲16)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)

一  大蔵事務官作成の証明書(甲17)

(法令の適用)

一  罰条 (各所為ごとに)所得税法二三八条

一  刑種の選択 懲役刑と罰金刑とを併科する。

一  併合罪加重 刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も重い右第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算する。

一  労役場留置 刑法一八条

一  刑の執行猶予 刑法二五条一項(但し、懲役刑についてのみ)

よつて、主文のとおり、判決する。

(裁判官 澤田経夫)

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